新型Aeolus Xシリーズは何が変わった? 前後異高リム・スポーク・ハブの進化を解説
NEW BONTRAGER AEOLUS X SERIES / 2026
「前輪の方がリムが深い?」「43mmハイトで1,220g?」「28mmタイヤに最適化?」
2026年10月、Bontrager(ボントレガー)から新型カーボンロードホイール「Aeolus RSL 43X」「Aeolus RSL 65X」「Aeolus Pro 43X」が登場しました。
今回の新型で注目したいのは、前輪を深く、後輪を浅くした「ミックスデプス」設計。かつては前輪を浅く、後輪を深くする組み合わせもよく見られましたが、今回はその逆です。
さらにRSLグレードではカーボンスポークを採用。28mmタイヤを基準とした空力設計やハブの変更など、さまざまな進化が盛り込まれています。
では、何が変わり、どんなメリットがあるのか。メーカーの発表資料とバイクプラスに入荷した実物をもとに、詳しく見ていきます。
新型Aeolus RSL 43X・65Xを愛車で試せます!
10月31日(土)~11月15日(日)の期間限定で、バイクプラス所沢店・さいたま大宮店にてホイール試乗を実施します。

- フロントを深く、リアを浅くした「X=Mixed Depth」設計
- 28mmタイヤを基準に、リムとタイヤを一体で考えた空力設計
- RSLはカーボンスポークを採用し、軽量化を推進
- グレードに合わせたラチェット式ハブを採用
1. 「X」は前後異なるリムハイト。なぜフロントの方が深い?
ひと昔前、前後で異なるリムハイトを組み合わせる場合は、「前輪を浅く、後輪を深く」という選択がよく見られました。前輪を深くすると空力性能の向上が期待できる一方、横風を受けた際にハンドルを取られやすくなることが課題だったからです。
ところが近年は、風洞実験やCFD(数値流体解析)などの進歩によって、正面からの空気抵抗だけでなく、横風を受けたときの空気の流れや操舵への影響まで考慮してリムを設計できるようになりました。ディスクブレーキが主流となり、リムにブレーキ面を設ける必要がなくなったことも、断面形状の自由度を広げた要因のひとつです。
こうした進化を活かしたのが、今回の「X=Mixed Depth(ミックスデプス)」。従来とは逆に、フロントを深く、リアを少し浅くしています。

フロントは、空気抵抗の低減を重視
フロントホイールは走行中に最初に風を受け、ホイールの空力性能に大きく影響する部分。そこで、フロントのリムハイトを高くすることで、空気抵抗を効果的に減らすことを狙っています。
特にRSL 65Xのフロントは、リム外幅37mmという大胆な設計。単に幅を広くしただけではなく、ボリュームのある断面形状によって風の流れを整え、横風を受けたときにも安定したハンドリングを目指しています。
リアは、空力性能を保ちながら軽くする
一方、リアホイールはフレームやライダーの脚の後ろに位置します。そのため、フロントに比べるとリムハイトを低くした際の空力的な不利が比較的小さく、リアを浅くして重量を抑えるという選択ができます。
これが、前後を同じリムハイトにしない理由。前輪で空力性能を稼ぎ、後輪で軽さを確保するという、役割分担を明確にした設計です。
深くなっても、横風での安定性を向上
もうひとつ注目したいのが横風への対応です。新型RSL 43X・65Xは、従来モデルより深いフロントリムを採用していますが、20度の角度から風を受ける条件(ヨー角20度)で、従来モデルより横風に対する安定性が向上しています。
もちろん、どんな風向きや風速でも横風の影響を受けないという意味ではありません。ここで重要なのは、空力性能を求めてリムを深くしながら、横風による操舵への影響も抑える方向に設計が進化していることです。
RSL 43X / Pro 43X

RSL 65X

※数値はリムハイト。棒の長さは65mmを最大値とした比較用の模式図で、実際のリム断面形状を示すものではありません。
RSL 65Xは、リムの「幅」も前後で違う
なかでも特徴的なのがRSL 65Xです。フロントは外幅37mm・内幅22mm、リアは外幅31mm・内幅23mm。外幅は前輪の方が大きいのに、タイヤを取り付ける内幅は後輪の方が広いという、ちょっと面白い組み合わせです。
フロントではタイヤとリムを組み合わせた空力形状と横風への対応を重視。一方、リアではタイヤを支える内幅を確保しつつ、リムの外幅と高さを抑えて軽量化を図った、と考えると納得できます。
メーカーがこの内幅1mmの違いについて個別に理由を説明しているわけではありませんが、前輪は空力、後輪はタイヤの支持と軽さという役割分担が、細かな寸法にも表れているように感じます。
ちなみにRSL 43Xは前後とも内幅21mm・外幅約28mm。同じ「X」でも、43Xと65Xではリムプロファイルの作り込みが異なる点にも注目です。
2. 速さはホイール単体では決まらない。28mmタイヤに最適化
もうひとつの重要な変更が、28mm幅のタイヤを基準とした設計です。
例えば従来のAeolus RSL 51は25mmタイヤを想定した空力設計でしたが、新型の43X・65X、そしてPro 43Xはいずれも28mmタイヤに最適化されています。
実際に走るとき、風を受けるのはリムだけではありません。先に空気に触れるタイヤ、その後ろにつながるリムまで含めた形状が空気抵抗に影響します。さらにタイヤの幅や空気圧は転がり抵抗にも関係するため、空力性能だけを切り離して考えるわけにはいきません。
今回の設計は、「ホイールの重量やリム単体の空力」から「タイヤを含めて効率よく走る組み合わせ」へと視点を広げたものとして理解できます。
なおTREKは、28mmタイヤに最適化した設計でありながら、30mmタイヤでも同等の速さを発揮できると説明しています。ただし、詳しい比較条件や測定データまでは示されていないため、どんな状況でも28mmと30mmが同じ速さになるという意味ではありません。28mmを基本としつつ、30mmも十分に選択肢に入る、という捉え方がよさそうです。
3. RSLにはカーボンスポーク。さらに前輪は18本に
新型RSL 43Xと65Xは、Bontragerホイールとしては初となるカーボンスポークを採用しています。スポーク数はフロント18本/リア24本とし、素材と本数の両面から軽量化を追求。スチールスポークと比較して96gの軽量化に成功しました。
注目したいのは、軽さだけではないこと。高い剛性による反応性、空気抵抗を抑えるエアロ形状、路面から伝わる振動の吸収への配慮もカーボンスポークのメリットです。
ペダリングの力を受け止める剛性を確保しつつ、薄く平たいスポーク形状で空気抵抗を抑える。さらに、振動の伝わり方にも配慮した構成です。これらの特徴が実走でどう感じられるかは、後日のインプレッションで確かめたいところです。
一方、Pro 43Xはスチールスポークを前後24本ずつ採用。RSLとProは、スポークの素材や本数にもグレードの違いが表れています。

4. ハブもグレードごとに違う。RSLはRatchet EXP、ProはRatchet LN
ホイールの中心にあるハブもみていきましょう。
RSL 43X・65X:ハブも妥協なし。Ratchet EXP+セラミックベアリング

Aeolus RSL 43X/65Xには、DT Swissの最上位グレードに位置するRatchet EXP機構とセラミックベアリングを備えた、DT 180カスタムハブを採用しています。
Ratchet EXPは、従来のスターラチェット機構をさらに進化させたシステム。ハブ側のラチェットと固定リングを一体化し、スプリングを1本に減らすことで、軽量化とより正確な噛み合わせを実現しています。
さらに、ベアリングの配置を見直し、左右のベアリング間隔を拡大。アクスルのたわみを抑え、ベアリングへの負担を軽減することで、剛性と耐久性の向上にもつなげています。
そこに低摩擦のセラミックベアリングを組み合わせ、滑らかな回転性能も追求。リムやスポークだけでなく、ホイールの中心にあるハブまで、走りの質を高めるために設計されたRSLならではの仕様です。
Pro 43X:Ratchet LN、確かな駆動力を生み出す、36Tスターラチェット機構

Aeolus Pro 43Xのリアハブには、DT SwissのRatchet LN機構を採用。内部には36Tのスターラチェットを搭載し、ペダリングの力を確実にホイールへ伝えます。
一般的な爪式フリーハブとは異なり、2枚のラチェットが多数の歯で同時に噛み合う構造。駆動時の力を広い接触面に分散することで、高い信頼性と耐久性を追求しています。
36Tのスターラチェットは、噛み合わせ角度が10度。ペダリングを再開した際にも素早く駆動力が伝わり、コーナーからの立ち上がりや加速時の反応のよさにつながります。
Bontragerブランドのハブに、実績あるDT Swissのスターラチェット技術を組み合わせた、パフォーマンスと信頼性を両立する仕様です。
5. 実物を見て気づいた、細かな進化
ここからは、メーカーの発表資料だけでは伝わりにくい、実物を見て気づいたことを少しご紹介します。バイクプラスに入荷したRSL 65XとPro 43Xを確認したなかでも印象に残った部分です。
6. その結果、どれだけ軽く、速くなった?
設計変更の成果として、メーカーが公表した比較値も確認してみましょう。
従来のRSL 37と比較
従来のRSL 62との空力比較
従来世代との重量比較
特にRSL 43Xの1,220gという重量は印象的です。従来のRSL 37よりフロントリムが深くなっていながら、前後セットで105gの軽量化を実現しています。登坂を重視するライダーにとっても、注目したい進化といえるでしょう。
一方、エアロ性能を重視するRSL 65Xは、前後セット1,475g。従来のRSL 62に対し、メーカー公表値で空力性能が2.1W改善しています。より深いフロントリムを採用しながら、速さと重量の両方を追い込んだモデルです。
Pro 43Xもセット1,415gで、従来世代比90gの軽量化。上位モデルだけでなく、Proグレードにも軽量化の恩恵が及んでいます。
※重量・空力比較はメーカー公表値です。特に2.1Wはメーカーの比較条件に基づく数値で、走行速度、タイヤ、風向き、ライダーの姿勢などにより実走時の差は変わります。
7. 3モデルの違いは?スペックと選び方を比較
| 項目 | RSL 43X | RSL 65X | Pro 43X |
|---|---|---|---|
| 前/後リムハイト | 43/38mm | 65/58mm | 43/38mm |
| セット重量 | 1,220g | 1,475g | 1,415g |
| リム外幅 | 前後 約28mm | 前37mm/後31mm | 前後 約28mm |
| スポーク | VONOA製カーボン 前18/後24本 |
VONOA製カーボン 前18/後24本 |
エアロスチール 前24/後24本 |
| ハブ | DT 180カスタム Ratchet EXP/36T セラミックベアリング |
DT 180カスタム Ratchet EXP/36T セラミックベアリング |
Bontragerカスタム Ratchet LN/36T |
| タイヤ最適化 | 28mm | 28mm | 28mm |
| 税込セット価格 | 440,000円 | 440,000円 | 240,000円 |
※重量・寸法はメーカー公表値です。
Aeolus RSL 43X

登りも平坦路も妥協したくない人へ。軽さを重視しつつ、43mmのフロントリムで空力にも配慮したオールラウンドモデル。
RSL 43Xの商品詳細を見る →Aeolus RSL 65X

高速巡航やレースでの空力性能を重視する人へ。前後でハイトとリム幅を最適化したディープリムモデル。
RSL 65Xの商品詳細を見る →Aeolus Pro 43X

新設計のメリットを取り入れながら、価格とのバランスも重視する人へ。スチールスポークとRatchet LNハブを採用。
Pro 43Xの商品詳細を見る →まとめ:速さと軽さを、別々ではなく一緒に追求した新型Aeolus
新型Aeolusの進化をひと言で表すなら、「速さのために重くする」「軽さのために空力をあきらめる」という二者択一から、もう一歩進んだ設計だと思います。
前後で役割を分けたリム形状、28mmタイヤを含めた空力設計、RSLのカーボンスポーク、そしてグレードに合わせたハブ。ひとつひとつの変更を見ていくと、今回の「X」という名前の意味が見えてきます。
もちろん、数値だけで分からないのがホイールの面白さ。実際の登りや高速巡航、横風での挙動などは、後日公開予定のインプレッション記事で詳しくお伝えします。
この記事で紹介したアイテム
気になった商品は、そのまま詳細ページでスペックや価格を確認できます。
関連カテゴリ・シリーズ
近いジャンルの商品や、同系統のモデルをまとめて見たいときはこちら。



この記事が参考になったら、ぜひコメントをどうぞ!